⧉ 配偶者ビザ
配偶者ビザとは
日本人や永住者と結婚したので、夫(妻)と一緒に日本で暮らしたいという方は、配偶者ビザを取得する必要があります。結婚しただけでは、日本で一緒に暮らすことはできません。ご本人が現在海外に住んでいる場合は、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」という在留資格により「在留資格認定証明書」の交付申請を行い、証明書の交付許可が下りた場合は、海外在住の申請人ご本人が在外公館(大使館・領事館)で査証を取得して入国するという流れになります。ご本人がすでに何らかの在留資格により日本で暮らしている場合は、在留資格変更許可申請にいより在留資格を変更します。ただ、日本人と結婚したからといって、必ずしも日本人の配偶者等の在留資格に変更しなければならないというわけではありません。
「日本人の配偶者等」の在留資格に該当する外国人は、@日本人と結婚した外国人、A日本人の特別養子、B日本人の子として出生した者、のいずれかになります。@については、現に日本人と婚姻中の者をいい、相手方の日本人が死亡していたり、離婚した場合には日本人の配偶者ではなくなります「日本人の配偶者等」に該当するには、単に入籍しという法律上の婚姻関係があるというだけでは足らず、同居・相互扶助の関係にある夫婦共同生活をしているという婚姻の実態があり、婚姻関係が真実でなければ、在留資格該当性は認められません。Aの特別養子は、民法817条の2の規定に基づく特別養子しか認められません。
●日本での活動制限がない
一般的な就労ビザでは、決められた仕事しかできません。決められた仕事以外を行うと不法就労に該当する場合があります。配偶者ビザを取得した場合には、活動制限がなくなるため、好きな仕事に就くことができますし、アルバイトやパートでもよく、転職することも自由です。
●永住許可要件の緩和
永住申請の要件として、10年以上継続して日本で在留していなければなりません。しかし、日本人の配偶者等や永住者の配偶者等の在留資格をお持ちの方は、結婚後3年以上経過していることかつ1年以上連続して日本で在留していること、で永住許可申請が可能となります。
配偶者ビザを取得するにあたって最も重要なのは、その結婚が本物であるかということです。
配偶者ビザは、就労制限がないということで、近年、結婚するつもりもないのに婚姻届を出す「偽装結婚」が急増しています。そのため、配偶者ビザの審査は非常に厳しくなっています。本物の結婚であるかを裏付ける資料が提出できるかどうかが大きなポイントです。海外から配偶者を呼び寄せる場合、日本人配偶者が安定した仕事に就いているかということも重要です。要は、日本で一緒に生活をするに必要な資力があるかどうかということです。
提出する資料に「質問書」というものがあります。全8枚の規定の書類で、必ず提出しなければならないものです。特に「2 結婚に至った経緯(いきさつ)についてお尋ねします」という項目について、包み隠さず記入しなければなりません。出会ってから結婚するまでを時系列に何があったかを記入します。その際の心情なども記入できればなおいいです。
日本人の配偶者と離婚・死別したときは
「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ者が、日本人の配偶者と離婚又は死別した場合、以前は、現在持っている「日本人の配偶者等」の在留期間内に日本人と再婚すれば、在留資格を変更することなく、引き続き日本で生活することができました。しかし、平成24年の入管法の改正により、6か月以内に別の在留資格へ変更しなければならなくなりました。離婚後に在留期間が残っているからといって、在留期間が切れるまで日本にいることができるというわけではありません。
まず、離婚や死別をした場合には、その事実があった日から14日以内に出入国在留管理局へ届出なければなりません。
「正当な理由なくして配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していいると、在留資格取消事由に該当する」と規定されています。
民法の改正により、前婚解消・取消しの日からの待婚期間が6か月から100日に変更されたことにより、6か月以内に日本人と再婚すれば在留資格を変更することなく、引き続き日本に在留することもできます。
次のような正当な理由がある場合には、在留資格取消しの対象にはなりません
・配偶者から暴力を受けており、一時的に避難や保護を必要としている場合。
・子供の養育などのために日本人配偶者とは別居しているが、生計を一にしている場合。
・本国の親族の病気などのために再入国許可(みなし再入国許可を含む)による長期出国中である場合。
・離婚調停中または離婚訴訟中の場合
その他に「日本人と再婚する」以外の選択をする場合、
〇永住者と再婚する場合は、「永住者の配偶者等」への在留資格変更許可申請を行います。
〇就労ビザの外国人と再婚する場合は、「家族滞在」への在留資格変更許可申請を行います。
〇社員として企業に就職する場合は、「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請を行います。
〇会社を設立して代表となる場合、「経営・管理」への在留資格変更許可申請を行います。
※在留資格変更許可申請をする場合、変更する在留資格の要件を満たしていなければなりません。
上記のいずれにも該当しな場合は、「定住者ビザ」への在留資格変更許可申請を考えます。例えば、「日本人との婚姻期間が長かったので、すでに生活基盤が日本にある」「母国には親族がだれもおらず、帰っても仕方ない」「離婚するにあたり、子どもを引き取って日本で育てることになった」等の理由がある場合、定住者ビザへの変更が許可される可能性が高くなります。
定住者ビザへの変更は、誰でも許可されるわけではありません。例えば、日本国籍の子どもがいる場合には、日本人配偶者との婚姻期間は問われませんが、子どもがいない場合には、日本人配偶者との婚姻期間が、少なくとも3年は必要です。