帰化

帰化許可申請

帰化とは

国籍法によると、日本国籍を取得するには3つの方法があります。1つ目は「日本国民である父または母からの出生」(第2条)、2つ目は「日本国民が認知した子による届出」(第3条)、そして3つ目が「帰化」(第4 条)です。帰化には、さまざまな要件が設けられています。ただし要件を満たしたからといって自動的に帰化 が認められるわけではなく、「帰化申請に対する法務大臣の許可」を受けることが必要です。法務大臣による 許可が下りると「官報」にその旨を告示され、その日から帰化の効力が発生します。
すなわち、許可された時 点で「日本人」となるわけです。

帰化申請の手順

  • 事前相談
  • 提出書類の作成・取り寄せ
  • 法務局・地方法務局に申請
  • 書類の点検・受付
  • 審査
  • 法務省へ書類送付・審査
  • 法務大臣決済
  • 許可・不許可
※許可の場合、官報告示・法務局から本人へ通知  不許可の場合、法務局から本人に通知

※帰化許可申請は、行政手続法・行政不服審査法の適用除外です。
すなわち、これらの法律で定められてる審査基準や標準処理期間の公表する必要がなく、行政不服申立ができないことになっています。許可が下りるのはいつになるのか、不許可となった場合にはその理由すら教えてもらえません。

普通帰化の条件

国籍法第5条に「法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可できない」と規定されています。これには6つの要件が法律で規定されています。その他に、法律の条文では規定されていませんが、原則として日本語の読み書き、会話能力があることが条件です。この日本語能力は、小学校3年生レベル程度とされていますが、帰化許可がされた後に、日常生活に支障をきたさない程度の能力は必要ということになります。
  1. 引き続き5年以上日本に住所を有すること(国籍法第5条第1項第1号)
  2. 帰化許可申請をするときまでに、引き続き5年以上日本に住所を有していなければなりません。住所というのは、人の生活の本拠のことであり、居所ではありません。5年間の居住期間に中断の時期があればこの条件を満たさなくなりますので注意が必要です。

    この5年間というのは、単に住んでいればいいということではなく、就労系の在留資格で3年以上働いている期間が必要とされています。
    これは、帰化要件の一つに生計要件がありますが、安定した生活基盤を構築するには3年程度の就労期間は必要であろうという解釈からきているものと思われます。
    例1)留学ビザ2年+就労ビザ3年=合計5年○
    例2)留学ビザ4年+就労ビザ2年=合計6年×
    例3)留学ビザ5年×
    ※例外として、10年以上日本に居住されている方は、就労期間は1年で大丈夫です。
    例4)留学ビザ9年+就労ビザ1年=合計10年○

  3. 18歳以上で本国法によつて行為能力を有すること(国籍法第5条第1項第2号)
  4. 帰化許可申請者は18歳以上であり、かつ、本国法によって行為能力を有していなければなりません。要は本国法で成年に達していなければならないということです。未成年者の場合は、本人ひとりでは申請できませんが、親が帰化許可申請をすれば、帰化が許可された時点で「日本国民の子」ということになり、この要件は問題とならなくなります。実際は、親と未成年の子は一緒に申請して、親子同時に許可されることになります。

  5. 素行が善良であること(国籍法第5条第1項第3号)
  6. 素行が善良であるとは、通常の日本人の素行と比較してそれに劣らないことをいい、前科や非行歴の有無によって判断されるものになります。また道路交通法であっても注意が必要で、重大な交通違反歴がある場合は、審査に影響します。会社等の経営者の方は、適切な所得申告や納税義務にも注意が必要です。

  7. 自己又は生計を一つにする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(国籍法第5条第1項第4号)
  8. 自力で生計を営むことができる者に限らず、夫に扶養されている妻、子に扶養されている親というように、自力では生計を営むことができない者であっても、生計を一つにする親族の資産又は技能を総合的に判断して、生計を営むことができればよいことになっています。「生計を一つにする」とは、世帯よりも広い概念であって同居していなくても構わないので、親からの仕送り等で生活している学生等も含まれます

  9. 国籍を有せず、又は日本の国籍取得によってその国籍を失うべきこと(国籍法第5条第1項第5号)
  10. 帰化許可申請は、無国籍者又は日本国籍を取得することで、それまで有していた国籍を喪失する者でなければなりません。この点に関しては、多くの国で自国民が外国に帰化すると当然に国籍を喪失することになっており問題ないのですが、中には外国籍を取得した後でなければ自国籍の喪失を認めない国もあります。このような場合は、国籍法第5条第2項で規定しています。法務大臣が特に許可することを相当と認めるときに該当します。

  11. 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと(国籍法第5条第1項第6号)
  12. 憲法や政府を暴力で破壊するような行為を主張する者であってはならず、また、憲法や政府を暴力で破壊することを主張する政党や団体を結成したり、これに加入したことがない者でなければなりません。

  13. 日常生活に支障のない程度の日本語能力
  14. この条件については国籍法に明記されていませんが、今後日本人として暮らすにあたり、
    少なくても10歳程度 の日本語能力(話す・聞く・書く)が求められています。

特別(簡易)帰化の条件

特別帰化は、国籍法第6条から第8条で規定されています。
  1. 日本国民であった者の子(養子は除く)で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの(国籍法第6条第1項第1号)
  2. 日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、又はその父若しくは母(養父母は除く)が日本で生まれたもの
    (国籍法第6条第1項第2号)
  3. 引き続き10年以上日本に居所を有するもの(現に日本に住所を有するもの)(国籍法第6条第1項第3号)
  4. 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの(国籍法第7条前段)
  5. 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの(国籍法第7条後段)
  6. 日本国民の子(養子を除く)日本に住所を有するもの(国籍法第8条第1項第1号)
  7. 日本国民の養子で引き続き1年以上に異本に住所を有し、かつ、縁組のとき本国法により未成年であったもの(国籍法第8条第1項第2号)
  8. 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後に日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有するもの(国籍法第8条第1項第3号)
  9. 日本で生まれ、かつ、出生のときから国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの(国籍法第8条第1項第4号)