永住許可申請

 永住ビザとは

配偶者ビザや就労ビザが取得できると、原則として在留期間が定められます。在留期間は、その人の在留状況により定められますが、最長でも5年であり、期間が満了するごとに更新の許可申請を行わなければなりません。就労ビザの場合、転職をしていれば、その都度資料を提出して審査を受けなければなりません。何よりも、毎回更新される保証はありません。
そこで、一定の条件を満たせば、在留期間を定めずに日本で暮し続けることができる在留資格である「永住者」の取得が可能です。
永住者は、「法務大臣が永住を認める者」と定義されています。すなわち、入国していきなり付与されることはありません。

 

永住ビザの特徴

更新許可申請が不要
永住ビザの大きな特徴は、「在留期限がない」ということです。うっかり更新を忘れて、不法滞在になってしまうことはありませんし、更新の許可が下りるかどうかを心配する必要もありません。
ただし、7年に1度の更新が必要です。運転免許証の更新と同じイメージです。7年間在留カードの変更がないので、在留カードの写真を新しいものに換えるようなものです。この手続きも20分程度で終了し、新しい在留カードを受取ることができます。
就労活動に制限なし
自由に仕事が選べます。アルバイトやパートなど単純作業の可能です。転職も自由で、届出の必要もありません。
離婚しても永住資格は消えない
配偶者ビザの場合、離婚等をすると在留資格を変更するか、帰国するしかありません。永住者の場合は、離婚をしてもその地位は変わりません。
社会的信用が高くなる
金融機関から住宅ローンなどの融資が受けやすくなります。
帰化との違い
日本国籍を取り、日本人となる「帰化」と違い、永住者はあくまで外国籍のままです。従って、国政選挙の選挙権や被選挙権はありませんので、日本人と区別されて制限されることもあります。

 

永住ビザを取るには?

永住ビザは、多くの面で優遇された在留資格です。そのため、誰でも取得できるというものではなく、一定の要件をクリアーしなければなりません。
素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日本で生活していくために必要な安定収入や資産があることです。本人になくても同居している配偶者や親に安定した収入がある場合、永住ビザを取得できる可能性は高くなります。
資産があることよりも、正社員として働き、毎月安定した収入があることのほうがより重要です。
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
・原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
・罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
・現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間(3年以上)をもって在留していること。
・公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
原則10年在留に関する特例
@ 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合
 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。
 その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
A 定住者の在留資格の場合
 5年以上継続して本邦に在留していること
B 難民の認定を受けた者の場合
 難民認定後5年以上継続して本邦に在留していること
C 外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者の場合
 5年以上本邦に在留していること
D 地域再生法第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること
E 出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
・「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
・3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
F 高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
・「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
・1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。
G 特別高度人材の基準を定める省令(以下「特別高度人材省令」という。)に規定する基準に該当する者であって、次のいずれかに該当するもの
・「特別高度人材」として1年以上継続して本邦に在留していること。
・1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として特別高度人材省令に規定する基準に該当することが認められること。

 

不許可となる場合

年収が少ない
収入に関しては、明確な基準があるわけではありませんが、ひとり世帯の場合の年収として、概ね300万円程度は必要です。さらに扶養家族がひとり増えるごとに80万円程度を加算します。すなわち、夫(会社員)、妻(無職)、小学生の子ども1人の3人家族の場合は、少なくても年収450万円程度は必要です。
この場合の450万円は、世帯年収としてみますので、夫と妻の収入を合わせて450万円でも問題ありません。ただし、要件は「安定した収入」となっていますので、夫(会社員)350万円、妻(パート)100万円の場合は、不許可となる可能性が高いです。パートやアルバイトでの収入は、安定した収入とはみなされません。
扶養人数が多すぎる
扶養する家族がいれば、それだけ必要な生活費も増えるので、家族全員を養えるだけの収入が必要になります。また、扶養家族がいることで税金面の優遇が受けられます。そのため、働けるはずの成人男性等が扶養に入っていたり、海外に扶養者が多数いる場合は、税金逃れのために扶養家族に入れていると判断されかねません。このような場合は、確実に不許可となります。
海外出国歴が多い
海外出張が多い方も不許可となる可能性が高くなります。連続して90日以上日本を離れていると、その時点で過去の居住年数が一旦リセット(注1)されてしまいます。また、1回の出国日数が少なくても、1年間で合計150日以上出国していると不許可の可能性が高くなります。
(注1)連続して90日以上出国したことで、過去の在留実績がすべてリセットされ消えてしまうわけではありません。トータル年数で10年以上本邦に在留されている方は、申請前の1年間において規定の日数以上出国していた場合、再度日本へ入国した後、その時点から1年間の在留実績を作れば、改めて永住許可申請が可能となります。
転職回数が多い
転職が多かったり、転職直後の場合は、生計が安定しているとはみなされない可能性があります。明確な基準があるわけではありませんが、転職後1年以上経過してから申請する方が望ましいといった場合もあります。転職が多い場合でも、明確な理由があり、合理的な説明ができる場合はその限りではありません。(転職により職責が上がったり、収入が増えたりと本人のステップアップとなっていること。)
税金・年金保険料・健康保険料の未納、滞納がある
申請前の2年間(注1)において、未納・滞納・納付遅れがある場合、まず不許可となります。
日本人の配偶者等の在留資格の方は、日本人配偶者の納税状況も診査対象となります。申請人ご本人に問題がなくても、申請前の2年間において、日本人配偶者側に未納等があると不許可となります。
(注1)在留資格によっては、申請前の1年間が審査対象となる場合もあります。
交通違反が多い
犯罪は論外ですが、交通違反が多いことも不許可となる原因となります。
5年以内に5回以上、2年以内に3回以上の違反がある場合は不許可となる可能性が高いです。ただし、この場合の違反は、1〜3点までの軽微なものに限ります。1度で免許停止処分となる6点以上の違反があった場合、その刑が確定した時点から5年を経過しなければ、永住許可申請はできません(申請してもまず不許可となります)。運転免許証をお持ちの方は、運転記録証明書を取得し、過去5年間に違反歴がないことを証明します。

 

 厳しくなった永住許可申請

2019年5月31日改定で何が変わった?

 

ポイント@
・「技能実習」と「特定技能」は就労資格ではあるものの、永住許可申請の要件となる在留期間10年には算入されないことが明記されたこと。
ポイントA
・永住許可申請の要件として、納税だけでなく、公的年金(国民年金)と公的医療保険(国民健康保険)の納付についても明記されたこと。
改正前は「納税義務等公的義務を履行していること」とだけ規定されていましたが、「公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること」と変更されました。これにより、永住許可申請の添付資料として、公的年金と公的医療保険に加入し、かつ、保険料を遅滞なく支払ってきたことを証明する資料が求められることになりました。

 

このガイドラインを受けて、永住許可申請をする場合に提出する書類ですが、2019年7月より新たに増えました
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の方が永住許可申請する場合の変更点として、以下の5点となります。
a.住民税の課税証明書及び納税証明書の提出が「直近3年」から「直近5年」になったこと
b.国税に関する納税証明書の提出が必要になったこと
c.年金の納付に関する資料(ねんきん定期便、ねんきんネットの画面印刷等)
d.健康保険料の納付に関する資料(国民健康保険料納付証明書等)

 

 

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